上海のDAISO、二店舗(長寧高島屋百貨店、金虹橋国際中心店)が年内で閉店となるそうです。
上海でもDAISOの商品にはファンがついており、今回の閉店のニュースに「日用品を買うのに重宝していたのに。」「ディズニーキャラクターの小物をよく買っていたのに。」など、閉店を惜しむ声もありつつ、「商品のラインアップに問題があった。」という声もあるようです。
筆者などは、後者の声に同感するところがあります。
上海のDAISOに足を運んだことはありますが、商品の取り揃えが物足りないように感じました。
今や中国では、タオバオや拼多多(日本では「TEMU」で事業展開)といったオンラインでの買い物もかなり便利なので、実店舗での販売では太刀打ちできなかったのかもしれません。
*
一方で、つい最近香港に行く機会があり、DAISOにも行ってみたのですが、上海のDAISOよりかなり品揃えがいいように感じました。
ほとんどの商品は「12香港ドル(=約230円)」。
円安の影響もあり、いわゆる「100円ショップ」というよりは「200円ショップ」に近いのですが、香港人の生活にも欠かせないお店になっているようです。
なお、このお店は香港島のノースポイント店ですが、以前もこの場所にはイオン系列の『LIVING Plaza』という「12香港ドル」ショップが入っていました。
地元の市民にとっては、この場所は「12香港ドル」のお店があるところ、という感覚なのかもしれません。また、すぐ隣には香港の有名スーパー『恵康(Wellcome)』もあるので、人の流れが止まらない大変良い立地になっています。
*
香港にはDAISOに商品の取り揃えや規模感が近い日用品を置くチェーン店が他にもあります。
有名なのは『日本城(Japan Home Centre)』。
日用品、食品・飲料、文具などから、炊飯器などの小型家電も置いてあります。
均一価格のショップではありませんが、創業者のピーター・ラウ氏は、そもそもは日本の100円ショップに創業のヒントを得たそうで、最初のコンセプトは100円ショップだったようです。
この『日本城』は1991年に1号店が香港で開店し、現在は香港だけで数十店舗を展開しており、街のところどころで見かけます。特に、地下鉄駅の出口を出てすぐの立地というところが多いようです。
こういった日用品は、人通りの多い場所で開店し、とにかく店に入ってもらう、市民に店を知ってもらい、利用してもらう、という動線も重要と思われます。
上海のDAISOは、今回の閉店を知らせるニュースによると、以前は上海の目抜き通りである淮海中路に出店したり、はたまた家賃の安い場所、百貨店の4〜5階に出店するなど模索が続き、最終的には高島屋の中、そして大型ショッピングモールの中に出店し、今回の閉店となりました。
最後まで、人通りや動線の点で理想的な場所を見つけられなかったのかもしれません。
*
また、香港では、日本城のような多店舗展開はしていないものの、各地域に根差したこのような日用品ショップも見かけました。
この店などは、より実用的な日用品を取り揃えている商品ラインアップでしたが、香港ではこのような日用品、小物を置く店があり、市民もそこを利用する、という習慣が根付いているようです。
*
考えてみると、筆者が生活する上海ではコンビニや小型のスーパーは多くあるものの、『日本城』や『DAISO』のように、「日用品ありき」という形態の店は少ない気がします。基本的には食料品店であり、店の奥に行くと日用品(台所用品や文具など)は置いていますが、メインの商品はあくまで入り口に近い食料品、という佇まいです。
DAISOは、まさに食料品よりはまず「日用品ありき」のような形態の店の普及を目指していたと思われるのですが、その試みはまだ道半ばです。
上海では二店舗閉店となりますが、他の都市でのDAISO(※)の動向などもウォッチしていきたいと思います。
(本記事作成にあたり、こちらの記事『上海最後の2店舗DAISO閉店へ。100円ショップの元祖、“時代の涙”(上海最后两家Daiso大创闭店,百元店鼻祖沦为“时代的眼泪”』)を参照しました。)
【注釈※】ダイソー中国の公式ページ(大创生活馆公众号)の店舗一覧ページを参照すると、2024年4月時点で上海店舗の他には、江蘇省蘇州市に1店舗、山東省に5店舗(青島市2店舗、煙台市2店舗、済寧市1店舗)、湖北省武漢市に3店舗、広東省に12店舗(広州市5店舗、佛山市2店舗、深圳市1店舗、東莞市1店舗、珠海市1店舗、中山市1店舗、肇慶市1店舗)、四川省楽山市に1店舗の、計22店舗を展開。
コメント