中国の個人消費を測る上で注目を集めるコーヒーチェーン市場
昨日、日経新聞で「中国カフェにデフレ圧力、新興コッティが低価格攻勢」という記事を見かけました。cotti coffee(コッティ/库迪咖啡)が一杯9.9元のキャンペーンを続けており、キャンペーンが終わる6月以降も、「さらなる値下げの可能性もある」と店員が語っていたそうです。
cotti coffeeの競合であるluckin coffeeも、対抗して毎週一回限定であるものの、同額9.9元/一杯のクーポンを配布しており、この値下げ競争はいつまで続くのか、中国の個人消費を測る温度計になる、と記事を締めています。
ところで本題と少し逸れますが、クーポンというと紙のものを想像しがちですが、下記のようにアプリ内に表示・配信されるものです。このようにアプリ内でメニュー選び、クーポン利用、支払いなど一連の操作ができるのが当たり前となっています。
虚実入り混じる、加盟店舗数、閉店店舗数情報
中国のコーヒーチェーン市場の隆盛は、特にスターバックスのグローバル店舗数をluckin coffeeが超えたあたりから(関連記事はこちらをご覧ください)、その注目度が加速し、中国国内でも度々、シンクタンクがコーヒー市場に関する分析記事を公開しています。
その中で、つい先日見かけた分析記事では、cotti coffeeが自社で発表する「閉店情報」と、第三者機関が調査した「閉店情報」に大きな食い違いがあるとして、その虚実について分析するものがありました。
cotti coffeeの李穎波CSOによる発表では、cotti創立から2024年4月までの閉店率は「2.6%」だそうです。また、自社発表と第三者機関調査の数字の比較で言うと、2023年12月中旬から2024年2月中旬までの90日間における閉店数について、第三者機関が「826店舗」と調査結果を発表したのに対してcotti側が否定し、閉店数は「61店舗」であり、826店舗のうち大部分は、大学内の店舗が冬休みの間臨時休業したものであり、始業とともに再度営業を始めている、と声明を発表したそうです。
初期投資が安く済むとはいえ、撤退ケーススタディーも
日経の記事によると、中国の招商証券の分析では、cotti coffeeの店舗は、約7割が40平方メートル未満で、初期投資額は1店舗当たり約24万元(約530万円)だそうです。
筆者がよく利用するcotti coffee、luckin coffeeとも、広さはそのぐらいだと思います。
ただ、招商証券の分析によると、cotti coffeeはテナント費用含めた諸費用が競合より安く、また、本部に納めるロイヤルティーの料率も低めに抑えられているそうです。
しかし、cottiに加盟したものの数ヶ月で撤退したというケーススタディも報道で見かけます。これは、cottiに限らず、luckinについても同様で、例えばコーヒー販売の繁忙期に開店したにも関わらず利益が出ず撤退したケースや、地方都市での加盟・撤退のケーススタディを仮名で生々しく取り上げる報道も見かけたことがあります。
日経新聞記事のタイトルにあったような「デフレ圧力」による値下げは、消費者にとってはありがたいものの、加盟店にとっては利益が圧迫される要因になる可能性も大いにあると思われます。
いずれにせよ、中国人のコーヒー消費は以前に比べ高まっているのは間違いなく、パイの奪い合い、価格競争の行方含め、内外から注目が集まっているのは間違いありません。
最後に、イメージの一助として、筆者がよく利用しているluckin、cottiの店舗の写真を掲載します。
コメント