[中国景況感]中古マンション購入事情。

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上海市中心の中古マンションを見学。

本稿は、上海人のSさん(女性、外資系銀行勤務)にうかがった上海の中古マンション事情に基づき記述させていただきました。一般の中国人のマンション購買事情の一端に触れていただけたらと思います。

Sさんは40代女性、既婚で4人家族。マンション購入は数年来考えてはいるものの、現状「とにかく高過ぎる」という理由で基本的なスタンスは様子見だそうですが、不動産会社の営業マンからは継続的に売り込みがあり、気が向くと見学に出かけていらっしゃるそうです。

今回見学した物件は2つのマンション、4つの部屋で、ロケーションは上海市中心の静安区に位置します。

1.築10年の高層マンション(1)
2.壁面に皺が入る問題が生じている。詳しくは本文の最後で触れます。
3.築20年のマンション。

価格は下落傾向にはあるものの、まだまだ高い、という実感。

今回見学したというマンション、まず1件目は築10年ほどの高層マンション(上記画像1,2)。

地下鉄駅までは徒歩10分ほどで、Sさんの勤めるビジネス街まで地下鉄で約25分ほど。

近くには大きな公園、食材市場もあり生活に便利な場所だそうです。また、Sさんは入居者の質にも注意しており、このマンションはその点もまずまず安心できそう、ということです。

様々な周辺条件はクリアしているようですが、やはり最重視するのは購買価格です。

このマンションでは合計3部屋、約70平米、110平米、150平米の部屋を案内され、価格は順に、900万元(12.9万元/1平米)、1260万元(11.5万元/1平米)、1800万元(12万元/1平米)だったとのことです。日本円に換算すると、順に1億9400万円、2億7200万円、3億8800万円となります。

日本人の筆者の感覚では、東京都内の築10年ほどの物件であればこの値段の1/2〜1/3ぐらいが相場のように感じました。

Sさん曰く、この言い値から、本気で購入する気があるのであればある程度の値下げは可能でしょうが、言い値にしても「高過ぎる」と感じ、早々に2件目のマンションの見学に移動したそうです。

2件目は全く検討外。

2件目のマンションは、築20年の高層マンションで、ここでは1部屋を案内され、70平米で700万元(10万元/平米)、日本円換算では1億5100万円だったそうです。(建物外観は画像3を参照)

この部屋については、長期間賃貸に出しており、前住者の手入れが悪く、まだクリーニング、メンテナンスを行っていなかったため印象が特に印象が悪かったようです。

周辺条件は1件目のマンション同様ほぼ満たしているものの、肝心の部屋が悪印象で、その割には価格も高く、全く検討外という評価だそうです。

マンションの買い時。

筆者は以前、不動産業界に勤める友人に、「マンションの買い時は、買いたい時。」と聞かされたことがあります。少々相場より高く感じても、そのマンションに住みたい、新しい生活を始めたい、という気分が高まっていれば、それが「買い時」ということ、と理解しています。

しかし、Sさんにとっては今は買いたい気持ちはあるものの、価格面でどうにも納得感がないようです。

先日、中国統計局の発表で大都市(1線都市)の中古住宅価格が1.1%下がったという発表がありました。(記事はこちらをご参照)。これは前月から0.4%さらに下がったものということで、確かに中古不動産価格は下落傾向にはあるようです。

しかしながら、Sさんが納得できそうな価格帯に落ち着くのはいつになるのか、そもそも現実的にどこまで下がるのかは不透明です。Sさんのマンション購入への道はまだまだ先がありそうです。

中国の景況の行方、Sさんのマンション探訪の今後は。

ただ、Sさんはこの不定期のマンション探訪が意外と気に入っているそうです。というのも、部屋のオーナーと色々な会話を交わすのが楽しいそうです。

今回の見学の中では、いかにも成功者という会社役員の方が、より会社に近い場所に移るために部屋を売りに出した話や、悠々自適な老夫婦が、気心の知れた友人たちがいる他の区に戻るためにやはり売ることにした、などの話をしたそうです。

また、マンションの壁面の塗装の問題で皺が入ったり、剥がれたりする問題(画像2)があり、老夫婦からざっくばらんに経緯や問題解決に向けての現状について話が聞けたそうです。写真を見るとかなり目立つ瑕疵に見えますが、こういったネガティブな話題を仲介者ではなくオーナー自らが話すというのも面白いなと筆者などは感じました。

話好きのSさんのマンション探訪の行方はどうなるのか。

中国の景況把握と共に、その後を気にかけたいと考えています。

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