ケンタッキーのコーヒーチェーン店「KCOFFEE」、1線都市へ展開。
中国のコーヒー市場について何度か触れてきましたが、ケンタッキーフライドチキン(中国語でケンタッキーは「肯徳基」、運営元:百勝中国)がさる4月29日に、北京にコーヒーチェーン「KCOFFEE」を開店したという記事を目にしました。
記事では、
KCOFFEEはすでに全国に100店舗を展開しているものの、浙江省、安徽省、河南省、湖北省、江西省、遼寧省などの省における2線都市、3線都市が中心だった。今回の北京店開店を機に、1線都市への展開を加速する、つまり、“中国コーヒー競争に正式に参戦した”
という業界関係者の見解を紹介しています。(記事原文はこちらをご覧ください。)
なお、筆者が滞在している上海市内には、5月中旬時点で、虹口区の和平公園内の和平公園店、閔行区の江文店、奉賢区の南橋店の3店舗が開店しています。
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先日、和平公園店を訪れてみました。
非常に清潔感のある店舗で、テラス席はKCOFFEEのロゴ入りのキャンバス生地のチェア、日よけパラソルが設置されており、快適な空間でした。
アップルソーダアメリカン(苹果气泡美式)は売り切れのようでした。ビッグエッグタルト(巨大蛋挞)はSNS受けが良さそうなビッグサイズです。
1線都市、新1線都市とは。
KCOFFEEは今後続々と店舗を増やす計画で、2024年年末までに300店舗への拡大計画を宣言しています。
ますます加熱していきそうな中国コーヒー市場に注目したいところですが、本稿では、上記引用した記事に出てきた、日本人には馴染みの薄い「1線都市」、「2線都市」などの中国独特の都市区分について簡単ながら触れたいと思います。
この都市区分は中国の大手経済メディアである「第一財経」がいくつかの基準に従いランキングをつけたもので、1線から5線までの区分をつけて毎年発表しています。
また、近年では1線都市と2線都市の間に、「新1線都市」というランクを設け、2線都市の中でも各基準で高水準に達している上位15都市を選定しています。
つまり、区分は6区分に分かれていることとなります。
毎年評価を行うので、区分に変動があるのは大きな特徴だと思います。
1線都市は、上海、北京、深圳、広州の各市で不動となっていますが、新1線都市は以下の通り、変化があるのは興味深いところです。
例えば、十年前にランク入りしていた瀋陽市(遼寧省)は、2022年にこの新1線都市リストから名前がなくなり、2線都市のランクに入りました。同じく遼寧省の大連市はもっと早く、2017年を最後に新1線都市リストには入っていません。
他にも廈門や福州などが近年はランク入りしていません。
ランク付けの基準。
ランク付けの基準についてですが、いくつかの指標が公開されているようです。
「商業資源集積度」・・各都市の商業力、商業資源の集約度を評価する基準。都市開発レベル、ビジネス圏の実力、著名ブランド参入レベルなどを評価する。
「都市間ハブ機能」・・各都市が持つハブ機能を評価する基準。都市単一ではなく、都市間接続、総合ハブ機能を評価する。
「住民の消費活力、社会活動レベル」・・各都市の住民の消費行動データや、消費に関わるビジネス規模データ、社会活動レベルを情報へのアクセス状況や幸福感の共有状況から評価する。
「生活方式の多様性」・・各都市の住民の消費傾向、レジャー享受状況、特徴を把握し、また、それらの多様性を見る。
詳細な採点方法までは公開されておらず、どこまで信頼できるかについては、国内でも議論はあるようです。
とはいえ、自社がこの都市区分を活用してマーケティングを検討することもできるかもしれませんし、今回のように市場動向に絡んだ情報の中に登場することもありますので、最低限押さえておくべき中国独自の用語かと思います。
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