[中国マーケティング・ノウハウ(4)]

定性情報例/自社競争力

本稿では、中国マーケティングノウハウの一例として取り上げた中国ファスナー業界・SAB社の「年度報告書」の定性情報例として、これまでご紹介したマクロ環境や競争環境につづき、自社分析部分についてご紹介します。

繰り返しで恐縮ですが、本稿はSAB社の研究深掘りがテーマではございませんので、「年度報告書」活用の一例としての概要紹介となります。

以下となります。

【自社核心競争力の分析】
▼当社は30 年以上の発展を経て、研究開発、技術、スマート製造の面で専門性を高め、国内アパレル資材業界の大手企業に成長いたしました。
▼生産規模、マーケティング、サービス、ブランド、品質、企業文化、経営力などのあらゆる面で業界における競争力を形成しております。

<競争力の源泉.1「研究開発、技術の優位性」>
▼当社は「大義を支える」という使命を堅持しながら、持続可能な開発に積極的かつ精力的に取り組んでいます。
▼技術革新を促進し、アパレル資材のトレンドにキャッチアップしながら、顧客に対して「オーダーメイド」の包括的なソリューションを提供します。
▼近年では「資源循環・自然回帰・グリーンマニュファクチャリング」の3大研究開発方向を掲げ、リサイクル可能・生分解性製品に注力してきました。
▼グリーン製造技術分野で大きな成果が見られます。 本社には省級企業研究所、CNAS研究室、ドクターワークステーションなどを設置し、上海、深センなどにも設計センターや技術研究開発センターを設置しています。
▼国内規格および業界規格13種の制定に参加するほか、1,139 件の国内外の特許、多層的かつ専門的な研究開発モデル、研究開発力により、顧客毎の多様で個別なニーズに対応しています。

<競争力の源泉.2「スマート製造と規模の優位性>
▼当社はスマートファクトリーを目指しており、デジタル変革の趨勢を、生産標準を包括的に自社実装する機会として捉えています。
▼標準化、機器インテリジェンス、管理のデジタル化により、産業コラボレーションプラットフォームを構築し、スマート製造で世界をリードします。
▼国内に8箇所の主要な生産拠点を有し、ボタンの年間生産量は116 億個、ファスナーの年間生産量は8億5,000 万メートルで、これは最大規模かつ最も豊富な種類を備えたアパレル資材会社です。
▼効率的でフレキシブルなスマート製造は、産業チェーンの川上・川下とタイムリーに連携できます。
▼ブランドアパレル企業に迅速かつ高品質な製品サポートを提供します。

<競争力の源泉.3「マーケティングとサービスの優位性」>
▼国内市場では衣料品流通センターとして主要な省や都市を中心に50以上の営業所、販売オフィスを設置しています。
▼海外市場では、欧米市場と東南アジアにフォーカスしています。
▼世界50カ国・地域以上をカバーするマーケティング・サービス体制を構築しています。
▼マーケティングネットワークと大規模サービスシステムを通じ、世界中の顧客に専門的で高品質のワンストップサービスを提供し、企業と市場の良好な関係構築をサポートします。
▼双方向対話により、顧客満足度を継続的に向上させます。

<競争力の源泉.4「ブランドと品質の優位性」>
▼当社は、「世界的かつ革新的なファッション資材王国」をビジョンに掲げ、「プロフェッショナル」の原則を堅持しています。
▼「Industry、Leadership、Beyond」をコアブランドコンセプトとして、品質の継続的改善に注力し、製品力向上に力を尽くし、ブランド価値を向上させます。
▼「SAB」ブランドは業界で高い評価を得ており、世界中の多くの有名アパレルブランドの戦略的パートナーとなっています。

<競争力の源泉.5「企業文化と経営陣の優位性」>
▼「持続可能な発展」というコアバリューと「安定を維持しつつ進歩する」という経営理念に基づき、40年以上の文化蓄積と、豊富な管理経験を持つ優秀な経営チームを形成しました。
▼当社の経営チームは、誠実かつ革新的であり、トレンド分析に長け、優れたチームワークを持ち、会社の長期的かつ持続可能で健全な発展を促進します。
▼当社全従業員の努力により各業界から認められ、「国家知的財産」の称号を獲得しました。
▼他にも、「財産権実証企業」、「中国の軽工業企業トップ100」、「中国のアパレル産業トップ100企業」、「中国の軽工業ハードウェア製品」、「業界トップ10企業」、「中国軽工業デジタル変革先進部隊」など数々の栄誉を獲得しており、中国の国家戦略である「国家火炬(たいまつ)計画」へも幾度も参画しています。

まとめ

以上がSAB社の自社分析部分となり、マクロ環境、競合環境など市場に対する同社視点と重ねて見ることで、同社に対する見識が深まるかと思います。

また、数字データの変遷も併せて定期的に読み解いていく事も重要です。

今回、例としてファスナー業界(アパレル資材業界)、その中で存在感のあるSAB社の年度報告書の取得手順と概要紹介を行いました。

是非、お客様自身の市場と研究対象企業に置き換え、マーケティング・長期研究の一環としての取り組みにご活用いただければと思います。

また、ご紹介できるノウハウは稿を改めてご紹介させていただきます。

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