年度報告書、財務諸表の入手
前回につづき、「中国ファスナー市場」およびトップメーカーである「SAB社」を例にとり、中国マーケティングのノウハウについて記述したいと思います。
(前回の記事で、なぜこの市場と企業を事例として取り上げたか、前提などについて記述させていただきました。もし未読の場合、こちらのリンクからご一読いただければと思います。)
まずは、企業の通信簿である財務諸表の入手についてご紹介します。以前も簡単にご紹介したことがあるのですが、今回は手順をもう少し細かくご紹介します。
年度報告書入手手順
財務諸表が掲載されている「年度報告書」は以下の手順でダウンロード可能です。
(以下、画像キャプチャ付きで手順をご紹介します。)
(続きます↓)
(続きます↓もう少しです!)
ここまでで、「年度報告書」入手の手順です。
続いて、内容の確認となります。
年度報告書の目次(2p)を確認します。
まずは数字データを確認
年度報告書には、財務諸表以外にもさまざまな情報が掲載されていますが、まずは数字データを抽出し、必要に応じてグラフ化など行います。
一例として、五年分の業績推移(売上、営業利益、営業利益率)をグラフ化しました。
少々面倒ですが、本稿では半永久的に企業研究していくことを念頭に置いてますので、ある程度過去に遡り、対象企業の業績の推移を見ていくことが肝要です。
場合によっては、この段階で想定していたよりも業績規模が小さく、研究対象とするべきか検討が必要になるケースもあると思います。
そういった判断を行うためにも、まずイメージの掴みやすい数字データは最初に可視化します。
上記グラフは一例ですが、B/Sの数字を見たり、または、今回例にあげているファスナーはアパレル資材ということもあり、季節性のある商材ですので、年度報告書以外に四半期毎の報告書も入手可能です。(前章の手順(3)で、「一季報(=Q1報告書に該当)」、「半年報(Q2報告書)」、「三季報(Q3報告書)」が、それぞれダウンロードできます)。
四半期毎の数字を見ることも、業界によっては有効です。(企業によっては四半期毎の報告書を作成・提出していない企業もあります。)
「年度報告書」記載の数字データまとめ
「年度報告書」に記載されている数字データとして何があるか、本日の投稿のまとめとして以下に列挙します。
あくまで、これはSAB社の場合となりますのでその点はご了承ください。
- B/S、P/L
- 製品別売上
- 国内/海外販売比率
- チャネル別販売比率
- 製品別販売量、生産量、在庫量
- 上位顧客販売額
- 上位調達先調達金額
- 工場生産能力(キャパシティおよび利用率)
- 研究開発関連(人員数、投資額、学歴割合、年齢割合)
- 人員関連(部門別人数ー生産/販売/技術/財務/総務、学歴)
- 主要株主リストおよび持ち株数
SAB社の場合、これだけの数字データが年度報告書に掲載されています。
これは「中国ファスナー市場」、「SAB社」を例に挙げたものですが、お客様自身の市場と研究対象企業に置き換えて想像してみてください。
このようなデータを毎年(あるいは四半期毎に)読み取ることの重要さがご理解いただけるかと思います。
これら可視化しやすい数字データ以外に、年度報告書に含まれる定性データ(テキストで表現されたデータ)について、次回ご紹介します。
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