中国市場(グローバル市場)マーケティング担当者に役立てて頂きたいノウハウ
本投稿から数回に分け、中国市場のマーケティング担当者に役立てて頂きたい市場研究・企業研究のノウハウについて記述していきたいと思います。
中国市場に特化して記述はしていきますが、グローバルに事業展開されている企業にとっては、グローバルな競争環境における中国企業の存在が気になるケースも多いかと思います。特に中国担当でなくても、グローバル市場を担当されている方にも参考になるように心がけて記述していきます。
長期的研究を念頭としたノウハウ
ある市場や企業の研究が必要となる場合、単発的に行うケース、ある程度期間を設けるケース(数ヶ月〜1年ほど)があるかと思いますが、今回は「長期的研究」を念頭としたノウハウをご紹介していきたいと考えています。
「長期的研究」と言っても定義は自由ですが、ここでは、”一度始めたら数ヶ月間隔を区切りとして、半永久的に継続して研究していく”ケースと定義することにします。
ある程度市場は成熟しており、活発な企業群が定まっており、長期に渡り市場理解・企業研究が必要なイメージです。
市場において、自社の市場価値をより高めていくためにどういった活動が必要か、焦点を定め戦略化していくための研究を行う、という目的を想定します。
中国企業研究・偉星股份(SAB)社
前置きが長くなりました。
早速中国市場・企業研究のノウハウについて、具体的な対象を決め紹介していきます。
対象をどういった市場、企業にするか検討したのですが、市場は「中国ファスナー市場」、研究対象企業は「偉星股份(ウェイシングーフェン)」という会社にしようと思います。
選定条件として、市場はグローバル規模で数千億円の市場であること、企業は20年以上の長期に渡り安定的に経営活動を行っている企業としました。
また、ファスナー市場はなんといっても日本が誇るべきグローバル企業であるYKK社が市場をリードしており、商材的にもどのような人でも馴染みのある商材ですので、関心を持っていただけるのではと考えました。
ただ、研究対象の「偉星股份(ウェイシングーフェン)」ですが、この名称はやや覚えにくいので、同社の商標であり通称でもある「SAB」という名称を本稿では使わせていただきます。
SAB社は中国ファスナー市場でもトップクラスの規模を誇る
もう少し、SAB社という会社について補足しますと、1988年に創立し、アパレル資材であるボタンやファスナーを生産・販売している会社で、深圳証券取引所へ上場しており、売上規模は約36億元(2022年度実績、日本円換算約750億円)です。
先頃、YKK社の大谷社長が日経新聞のインタビューで回答していましたが、グローバルの競争環境の中で、中国企業の脅威についても触れています。
SAB社がまさにその脅威的な中国企業なわけですが、中国ファスナー市場をもう少し俯瞰すると、なかなか興味深い状況が見えてきます。
次回以降、この「中国マーケティング・ノウハウ」で、市場理解、企業研究の具体的な手法を紹介していきます。
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